あの世界三大美女の一人と言われている、小野小町 晩年の和歌である。
内館 牧子著「毒唇(どくしん)主義」で見つけた。
内館氏の訳によれば、「私が死んだなら焼くことも埋葬することも致すな」「遺体は野ざらしにして、腹をすかせた野良犬に食べさせてくれ」と言っている、と。
「花の色は移りにけりな……」で有名な、小野小町はんが、…何があったん? どないしはったん? と、茫然自失の私。
さらに、内館氏は小町はんには、藤原氏に喧嘩を売った和歌があると言われる。
「物をこそ岩根の松も思ふらめ 千代経る末も傾きにけり」
当時、朝廷で権勢を欲しいままにしていた藤原一族を「罵った」歌で、藤(藤原氏)と言う植物は松(朝廷)に寄生して生き、最後には松の命を奪ってしまう(内館氏訳)と詠んだ。
内館氏は、「帝さえ顔色を窺う藤原氏に喧嘩を売った。いいぞ、いいぞ、小町!」と手放しで褒めておられる。
先の和歌は、「ああ、私は思い残すことなく人生を生き切ったわ。どうせなら遺体もしっかり役立ててよ」(内館氏訳)という根性の座った、お年寄りの、今風に言えば、後期高齢者の心意気と言うものだろうか。
良い意味で、裏切ってくれた小町はん。
いつの時代にも、カッコイイおなごはんていてはるんどすなぁ。…
(何故か京都弁になってしまいました。変な京都弁でごめんなさい。)