あの岸惠子さんです。
私がすぐ頭に浮かぶのは、「君の名は」「真知子巻き」ですが、周りの大人に教えられたというところです。
現在の岸さんは、女優、文筆家と紹介されています。(ウイキペディア)
1032年8月11日生まれ(89歳)
日本初 女優3人の独立プロダクション「にんじんくらぶ」設立
日本を去ったのは海外旅行がまだ許されていなかった24歳のとき
紆余曲折を経て故郷横浜に拠点を移したのは、67歳になろうとしていたとき。
「後期高齢者医療被保険者証」が届き、国からもうじき75歳になることを教えられて、
「だからなに!」と反応された。
そんなイキのいい岸さんの、言葉を拾ってみました。
「後期高齢者」たちの共感を得られるのではないでしょうか ⁈
「孤独という道づれ」(幻冬舎)より
★ ★ ★ ★ ★ ★
ある文藝雑誌から原稿の依頼があった
テーマは「認知症」
知るかっ、そんなこと! なってみなければ分からないし、なってしまったらなお分からない。
けれど、結構生真面目なわたしは考え込んだ。
幸か不幸かわたしのまわりにそれらしき人は、まだ一人もいない。
71歳のとき、ファンに「亡くなって」いると思われていた。
映画に、テレビに出演していたにもかかわらず…… 。
「たそがれ清兵衛」初めてのナレーションと最後のシーンに出演もして優秀助演女優賞受賞
… にもかかわらず ……
それから16年後(2016年)、86歳数か月
私の人生、並みではなかった、というか現在進行中でもある背負いきれないほどの艱難辛苦(古い言葉!)をもてあまし気味に、もういいよ、疲れたよ、とも思う。
「わりなき恋」 ベストセラーに
「愛のかたち」(2017)
「南の島から来た男」
「後期高齢者医療被保険者証」が送られてくる。75歳。
不肖わたくしは、といえば、これまで書き連ねてきたように、そのちょっと手前にいるのかもしれない。会っている人の名前は聞きながら忘れてゆくし、昨日のことなど思い出せばこそ。
でもしかし、考えてみれば、十代の頃から人の名前や顔は憶えなかった。
「わりなき恋」
人生晩年の季節に訪れる夢物語
なぜこんな物語を思いついたのか……。
→ 世間というものの、心ない「老い」を捉える負の姿勢への反発
テレビ画面に映される、「性別さえ分からない、既に物体と化した、むごたらしい顔をこともあろうに画面いっぱいのクローズアップで延々と映しているのを見て震えるほどの憤りが込み上げた」
信じられないほど大きく開け放った口から、喉の奥まで見えていた。死んでいる顔にしか見えない。
その人の曽孫ほどの若い介護士が、甘く優しい赤ちゃん言葉で呼びかけていた。
「おばあちゃん、ほら、食べてちょうだいね。食べなきゃダメよ」
スプーンに盛った流動物を、歯もなく飲む力もない大きな口に、流し込むのがためらわれるのか、さかんに、
「おばあちゃん、おばあちゃん」とあやすように呼びかけている。
この人に家族か身寄りはいないのだろうか。
「止めて下さい!」
と、キャメラの前に立ちはだかる人はいなかったのだろうか。
たとえ、身寄る人がいなくても、一人の人間としての尊厳をわたしは思う。
本人に意識がなくても、これほど無残な姿を衆目に晒すのは許されるのだろうか。
私は、テレビを消した。総身に鳥肌がたつほどの憤りを感じ続けていた。
自分もいずれはそんな姿になるかもしれないのに、今のところそれは絶対にありえない、と信じ込む暢気さがある。
「ああ、勿体無い、もったいない!
私にも80代なんていう若い時があったのに、もっと奔放に生きればよかった!」
(お嗤いあれー作者)
青春について
「青春は、若い奴らにはもったいない」
バーナード・ショー(アイルランド) 皮肉屋で、辛辣な言葉を紡いだノーベル文学賞作家
「私は、今日で、4回目の20歳(はたち)迎えました」(コレット)
80歳の誕生日に
フランスの美人女流作家 「ジジ」「青い麦」を書いた。
「性の解放」を叫び、華麗な恋愛遍歴でも有名。
「わりなき恋」80歳に書き上げる。
「女は灰になるまで」(宇野千代)
「…… 私の患者さんで、ご夫婦仲も良く、夫婦生活もとてもうまくいっている高齢の女性もいます…… 81歳になるはずです」(著名な女性産婦人科医)
85歳の見栄とはったり
… 人生の最晩年を生きているという自覚はあっても、自分を「年寄り」と感じたことは一瞬たりともなかった。
一月二十二日 肋骨二本折る。
癒える間もなく、庭で転倒、頭、眉間、血だらけの顔。
二年前から冠動脈狭窄症
(… どうしてお医者さま方は、あなたのおとしで、とか、高齢者とか言わずもがなのことをおっしゃるんです!)
「なんにもすることがなくなったら、わたしをその紅色の夜のなかに溶かして」
カード詐欺に遭う。
読者さま。よほどのご注意を!
何十回にもわたる泥棒サマのご来訪!
離婚後、女の一人住まいを狙ってのこととは承知の上、業を煮やした私は、田舎の家の扉に鍵をかけず、大きなメモ書きを貼り付けておいた。
「泥棒諸兄へ。(と大書した)
もう目ぼしいものはみんなお持ち帰りになりました。
何もないことを確認なさったあかつきには、せめてドアや窓を閉めてお帰り下さい。
落ち葉が舞い込んで絨毯が汚れ、掃除の手間が大変です」
数日後、管理をしてくれている豪農の奥方からあきれ果てた電話があった。
「ケイコ! なんて呑気な人なの、あなたは! あなたの掃除の手間が省けるように、替えたばかりの寝室の真新しい絨毯をきれいにはがして持っていったわよ!」
わたし自身は、やりたいことがなくなり、人の役に立たず、生きることに喜びを感じなくなったら、さっさと死にたいと思う。
尊厳死は、絶対に必須のものだと思っている。
極端な少子化が進んでいるというのに、医療に頼る老人ばかりの世の中になったら、若者の負担はどうなるのだろう。
・・・・・・・・・・
泥棒にメッセージを送るなんて、岸さん、さすがです。👍
施設のお年寄りに対する配慮のなさに怒っておられますが、
以前よりは、考慮されるようになっているのではないかと思います。
やりたいことがあるうちは、人は年を忘れているし、それが、その人を若く見せているようです。
人の寿命は神様の領分と、私は思っています…。今のところ。
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