「ローマの歴史」(I・モンタネッリ著 藤沢道郎訳)によれば
完全無欠の俗人
癇癪持ちで時々てんかんの発作を起こす
若禿(わかはげ)
長身、肥満、色白、眼は黒くてよく光る(スヴェト二ウスによれば…)
やせすぎで中背(プルタルコスによれば…)
長い軍人生活で身体を鍛え上げた。
若い頃から馬術にすぐれ、両手を後に組んで早駆けさせることができた。
だが兵士の先頭に立ってよく歩きもした。
戦車で眠り、粗食に甘んじ、血はいつも冷たく、頭脳は冴えていた。
美男子ではない。
禿げ上がった頭は少々巨大すぎ、えらが張り、口はへの字に曲がっていて、両側に まっすぐな二本の深い縦じわが刻まれ、下唇がうんと突き出していた。
それでいて女にはもてた。
4度結婚し、愛人情婦は数知れない。
部下の兵はこの大将を「禿の女たらし」と呼んでいる。
凱旋行進の時カエサルの兵士たちは
「市民よ、女房を隠せ、禿の女たらしが帰ってきたぞ」と叫んだものだ。
これを聞いてまっさきに吹き出すのがカエサルだった。
荘重な偉人という通説とは逆に
カエサルは完全無欠の俗物だった。
粋で物分かりがよくて偏見がなくユーモアに富み、当意即妙の警句と毒舌を巧みに操る才にたけていた。
自分の欠点を大目に見てもらったかわり、他人の悪徳にも寛容だった。
「あらゆる人妻の夫にしてあらゆる夫の妻」とクリオは呼んだ
貴族の奥方たちを洩れなく誘惑してものにしたからひどく憎まれたが、事実はいつでも女の方が誘惑されたがったのである。
カトーの義姉セルヴィリアもその一人だったから、カトーはかれの不倶戴天の敵となる。
セルヴィリアはカエサルにすべてを捧げ、実の娘までカエサルに進呈した。
彼女に報いるため、かれは追放した元老院議員の財産を時価の三分の一で買い取らせた。
カエサルよりずっと美男子で金持で名声もあったポンペイウスさえ、妻を寝取られ離婚する破目となった。
カエサルは娘を彼に嫁がせて詫びをいれた。
服を着替えるくらいの気安さで女房を取り換えるカエサル
16歳で学業を終え、マルクス・テルムス幕下で小アジア遠征に参加。
勇敢に戦うかわりに、
美少年に目がなかったビティニア王ニコメデスの寵童となる。
18歳でローマに帰還。
父の命でコッスティアという女性と結婚するが、父の没我すぐ離婚。
伯父マリウスの後継者キンナの娘コルネリアと再婚する。
独裁官スラは、離婚を命じた。
この時には大胆にも命令を拒否した。
死刑を宣告され、妻の持参金を没収された。
共通の友人のとりなしで死刑を免れ、追放されるだけで済んだ。
「スラもまぬけなことをしたもんだ」と言った。
スラは自分がまぬけなことをしていることは百も承知だったが、心のどこかでこの青年にひそかな共感を抱いていたのである。
莫大な借剤を抱えていたとき、大富豪のクラッススから借りたのだが、その前にクラッスス夫人をものにしていた。
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服を着替える気安さで、女を取り換えるカエサル。
しかし、時々、反抗もする。
敵も彼には、一目置いていた。
男と女の関係は、
これは、今も通用しているのか?
裏返せば、事実はこうなっているのか?
知らぬはアホの私だけ?
いや~、驚きました。
気がついたことがある。
名将は、人たらしであること。
悪口をさんざんいわれること。
妨害が激しいこと。
このことからも、
カエサルはまれにみる大将軍であったことを教えてくれる。
今更ながら、安倍元総理のご苦労がしのばれる。
昨今、ますます評価が上がる元総理。
ま、安倍元総理は愛妻家であらせられましたが。
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