日本人の寿命は、ますます延びて100歳になろうとしています。
でも、当の高齢者はどう感じていらっしゃるのでしょうか?
だいたいの方は、「思いもよらず」90才になった、なっていた、と言われます。
医療が行き渡り、食べることに困ることなく、普通に生きていれば、誰でも90才まで生きられるようになりました。
奇跡のような国、「日本」です。
佐藤愛子氏は、波乱万丈な生活から、やっとのんびり老後を過ごせると思っていました。
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… ところがです。
愈々(いよいよ)「のんびり」の生活に入ってみると、これがどうも、なんだか気が抜けて楽しくないのです。
… しかし「のんびり」の毎日では、起きても別にすることもなし・・・という感じで、いつまでもベッドでモソモソしている。
つまり気力が籠らないのです。
… 誰とも会わず、電話もかからず口も利かずという日が珍しくなくなりました。
… あまりに長い年月、私は仕事一筋に明け暮れていたため、生活のリズムが普通ではなくなっていて、従ってソッチはソッチ、コッチはコッチ、という暮らし方が定着してしまったのです
… そうしてだんだん気が滅入ってきて、ご飯を食べるのも面倒くさくなり、たまに娘や孫が顔を出してもしゃべる気がなくなり、ウツウツとして「老人性ウツ病」というのはこれだな、と思いながら、ムッと座っているのでした。
「女性セブン」のKさんが訪ねて来たのはそんな時でした。
用件はエッセイ連載の依頼です。
連載? 週刊誌の連載といえば締め切りは毎週ではないか・
それは今の私には無理だと思いました。
「もう私も90歳すぎましたからね。これからはのんびりしようと思ってるんですよ」
一応、そういいましたが、その「のんびり」のおかげで、ウツ病になりかけているんじゃないか、という思いが頭の隅っこにパッパパパと点滅したのでした。
そんなこんなで隔週ならば、という条件で書くことになったのですが、
タイトルの「90歳。何がめでたい」はその時、閃いたものです。
ヤケクソが籠っています。
そうしてこの隔週連載が始まって何週間か過ぎたある日、気がついたら、錆びついた私の脳細胞は(若い頃のようにはいかないにしても)いくらか動き始め、
私は老人性ウツ病から抜け出ていたのでした。
… ヤケクソの力で連載は続き、そのおかげで、脳細胞の錆はいくらか削れてなくなりかけていた力が戻って来たと思います。
人間は「のんびりしよう」なんて考えてはダメだということが、90歳を過ぎてよくわかりました。
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皆さん、目標を持つのは大事です。
・ 孫の結婚式に出たい
・ 詩吟の発表会に出たい
・ 念願の旅行に行きたい
・ 今日は100歩歩いた。明日はもっと歩くぞ
・ 短時間のパートだけど、できるだけ長く仕事を続けるぞ 等々
自分の望みを実現させるべく 手、足、頭を使いましょう。
老化は思いがけない速さで襲ってきます。
返り討ちにしてやりましょう。
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