例えば、
孤独な高齢者はヤクルトを取るとヤクルトレディが安否確認をしてくれます。
ヤクルトレディは、独り身男性の強い味方です!
新聞を取るのも、昔からある方法ですね。
「女やもめにゃ花が咲き、男やもめにゃウジがわく」と古来より言われています。
長尾先生のこの本は、おじいさん、おばあさんの老後というくくりのなかで、ともすれば見落としがちの独り身男性の「孤独」に光を当てています。
男性への共感とエール、思いやりに溢れたご本です。
◇◆ 男の孤独死 長尾和宏 著 (ブックマン社)
「定年後」の生き方が運命の別れ道!
☆ 男性の平均寿命は、女性よりも7歳短く
なおかつ、孤独死の7割が男性という衝撃の事実!
☆ 孤独死への恐怖にむしばまれていく男たち
孤独死は、不幸でしょうか?
プロローグ
男の孤独死は思いのほか身近にある
この本は「男性に捧ぐ」という内容です。
・ 男性は、女性よりも7歳短命です!
・ なおかつ、孤独死の7割が男性です!
・ 孤独死というものの実態を知ってほしい。
・ 人生の最後に、無用な警察の介入を防いでほしい。
・ 一人でも最期まで安心して暮らせるように、見守り体制を作ってほしい。
60歳から75歳までの生き方を一緒に考えていきましょう。
第1章 これが「孤独死」の現実
第2章 既婚者の孤独ーー妻に怯える男たち
第3章 男はそもそもできそこない⁉
第5章 孤独死回避術はあるのか?
◆◇◆◇◆
第1章 これが「孤独死」の現実
男の孤独死リスクは50代から始まっている!
孤独死に関する全国統計はありません。
明確な定義がないからです。
ただいくつかの組織が、特定の地域内などの部分的な統計を出しています。
東京都監察医務院は、
東京都23区で発生した「不自然死(死因不明の病死や事故死など)」について、死体の検案や解剖を行っている組織です。
「不自然死のうち、自宅で亡くなった一人暮らしの人の死」を孤独死として毎年、23区の統計を発表しています。
2016年 孤独死 4604人 65歳以上 7割
都市再生機構(UR)は、
「死後1週間以上経って発見された、一人暮らしの人の死」を孤独死……として発表しています。
2014年度 186人
※ 以前は「1週間以上」という定義はなく、一人暮らしの人が自宅で誰にも看取られずに亡くなっていたケースをすべて孤独死として統計を取っていた。
その統計では、
1999年~2009年の10年間では、孤独死は3倍に増えていました。
孤独死は「年間3万人」と推計しています。
自殺者の数が、年間3万人と報じられていました。(ここ数年は減少している)
日本では他の先進国に比べて自殺者が多いことに変わりありません。
そして自殺者も、その3割は 男性です。
しかし、自殺と孤独死は重なっている部分も多くあると私は感じています。
「緩やかな自殺」
生きる気力を失ってきちんと食べなかったり、
外部との連絡を億劫がり、
また病気になっても治療のために動こうとはせずに家で衰弱していく自分を放置しておく、
酒浸りになって周囲とのコミュニケーションを断ってしまう……。
警察はこれらを自死とは特定しませんが、
★ 家に他人を入れるのが億劫な男たち
在宅医療を利用すれば、毎日様々な職種の人が家に出入りするようになるのです。
…孤独死させないために私たちが存在しているともいえます。
しかし、在宅医も看護師も、汚い家なんて慣れっこです。
ゴミ屋敷、どんと来い!なのです。
汚い家を他人に見せるのが恥ずかしいからといって
在宅医療を頼まないのはモッタイナイ!と内心思います。
「死亡診断書」と「死体検案書」
「死亡診断書」 かかりつけの医師(主治医)として経過を診ている患者さんが死亡
したとき
「死体検案書」 かかりつけではない方が亡くなったとき
トイレやお風呂で孤独死しているケース
孤独死の定義
辞書には
「誰にも気づかれずに一人きりで死ぬこと。独居者が疾病などで助けを求めることなく急死し、しばらくしてから見つかる場合などにいう」
しかし私は、日数や時間ではなく、「警察が介入するかどうか」だと考えます。
私の友人の父親が先日、お風呂で亡くなりました。
おじいちゃんが在宅医療を受けていれば、在宅医が診て、異常死ではないことを確認すれば、死亡診断書を書けます。
最期(の時)に警察のお世話になりたくないと思うなら、
「かかりつけ医」を持っておくことが大前提になります。
自宅の鍵を預けられる人がいますか?
自宅に一人でいるときに倒れても、早めに見つけてもらうには?
→ 1日1回誰かが顔を出してくれるようにしておく。
「鍵」を預けられる人をつくる。
→ 行きつけの定食屋や居酒屋、スナックを持つ
世話好きのママのいる、カウンターのある店にでかけましょう。
死には、予想された死と、予想されなかった死の二つしかない。
予想された死 老衰
予想されなかった死 急性心筋梗塞、大動脈乖離 ブルガダ症候群、ポックリ病
★ 既婚者の孤独
男も最低これだけは覚えよう!
… 孤独死しない食べ方とは?
本気で旦那に死んでほしいと思って毎日の食事を作っている人は、ごく一部でしょうが、確実にいます。
孤独死しない食べ方 8ヵ条
第3章 男はそもそもできそこない⁉
多くの男性は認知症に至る前に、がんや脳卒中、心筋梗塞で死んでしまいます。
認知症になる妻、がんになる夫
妻より先に逝くのが一番の孤独回避⁉
「性」から「静」へ興味が変わってきたら要注意
いつも飲んでいる薬が男おばさん化を加速させる。
男おばさん化 「女性化乳房」
ガスターなどの胃腸薬や
アダラートなどの降圧剤の副作用で、
男性の胸が女性のように膨らんでしまうこと。
「プロペシア」 男性型脱毛症(AGA)の代表的な薬
男性ホルモンの働きを抑え、男性の脱毛を防ぐ増毛薬
副作用→ 性欲もなくなり、男性機能も低下する。
更年期以降のホルモンバランスの変化や、薬、治療の影響で、男性はおばさんになりやすい。
心と下半身のしめつけがテストステロンを減らしている⁉
男性ホルモンのテストステロン値を上げるには、ブリーフよりもトランクス。
昔のふんどしは、しめつけがまったくなく、理想的だったのです。
いざというときのための「生活保護」を知ろう
もう一度働く! という選択肢
パチンコとタバコをやめるだけで人生は変えられる
パチンコ、タバコ、アルコールが大好きという人は
孤独死する典型例のようなもの
依存はしていい。しかし依存症になってはいけない
炭水化物の食べすぎ → ブドウ糖依存症 → 糖尿病 → 認知症
貯金額と子どものことばかり気にしていると
幸せになれない
★ 多動のすすめ
ーー 多動なおじいちゃんのほうが元気な理由
年を取るということは、物理的に言えば、体の筋肉量が減るということ。
時間の観点から言えば、緩慢になるということ。
だから、
適度な負荷を上手にかけて、多動的になるよう意識してください。
… 「あれもこれも」と少し背伸びをしたほうが元気なままでいられると思います。
★ おしっこにかかる時間で孤独死が予測できる⁉
排尿にかかる時間は、哺乳類はみんな同じ。
ゾウもネズミもキリンもサルも、体の大きさにかかわらず、
排尿時間はおおよそ21秒以内でみな同じなのだそうです。
おしっこにかかる時間が長くなってきたら、
「あ、ずいぶん年取ったな」と思ってください。
夜間のおしっこの回数の変化こそ老化のバロメーター
50代 夜中に1回以上トイレのために起きる人 半数以上
70代 夜中に3回以上トイレのために起きる人 半数以上
第5章 孤独死回避術はあるのか⁉
★ 用事がなくてもラインや電話ができる相手を3人作る
★ 60歳からの習い事のすすめ、できれば2つ以上
★ スナックは近所の友人を作る交流の場
スナックは、私たち男性に唯一残された、貴重な地域交流の場かもしれません。
カラオケもおすすめ
★ 60歳過ぎたら、
男の肩書とプライドを捨てるレッスンを
★ 独り暮らしが心配になったらヤクルトを取ろう
ヤクルトレディこそが、地域包括ケアの鏡だ!
60歳を越えたらヤクルトの購入契約を
「24時間定期巡回・随時対応型訪問介護看護」
(介護保険)・・・採算が取れない
★ 本当に優しい女性は、ごみ置き場にいる⁉
最期まで自宅で暮らそうと思ったら
「血縁」よりも「地縁」が大事です。
なぜゴミ置き場で?
みんなが使うごみ置き場を、自発的に掃除してくれる人というのは、職場でトイレ掃除を自分からしてくれるようなもの。そういう人こそ、… 困った人を見かけたら放っておけずに手を差し伸べてくれるような母性のある人だと思います。
私は「互助」こそが人間社会の基本だと考えています。
最期が近づいて弱ってきたら、大事なのは医療よりも見守りです
★ おひとりさま時代の切り札は、民生委員
任務として地域の見守りを行ってくれる人 民生委員さん。
地域福祉に取り組むボランティアで、大正時代から続く制度。
基本的には無報酬。
一人暮らしの高齢者が増えている今、民生委員さんの役割はとても大きくなっています。
地域の人たちの世話係を自ら買って出て、しかもボランティアで行ってくれているのですから、もっと大事にしていかなければいけないと思います。
★ もしも子どもから同居を打診されたら?
生活は環境で作られるため、長年慣れ親しんだ住環境を変えないのが一番。
私はそう思っています。
何より本人の意思を尊重することをお願いしたい。それが一番の親孝行です。
ただし、頻繁に連絡は取り合うこと。
★ 恋のときめきがあれば、孤独死しにくい
お年寄りの恋愛は、アンチエイジングそのもの。
恋をすると、
男性は男性ホルモンのテストステロンが、
女性は女性ホルモンのエストロゲンが多く分泌される。
★ 1日、10人と話して暮らそう!
年を取ると、なかなか人に声をかけられなくなります。
コンビニの店員さんでも、散歩していてすれ違った人でも、
「おはよう」「ありがとう」「犬、かわいいね」とか、
そんな何気ない一言でいいので声をかけてみる。
犬を飼う。
誰かと接点を持っておきたい。
「適度」や「中庸」を心がげる。
ゆるやかに人とつながりつつも、一人を楽しむ。
そういう毎日を送ることができれば、
自分の人生を生ききり、
孤独死を避けるこができます。
おわりに
死ぬときはひとり、でも死んだあともひとりは寂しい
これからの医療職・介護職の仕事は、「町づくり」と言われています。
それは「認知症になっても徘徊できる町づくり」でもあると私は考えます。
しかしこれは市民や行政だけでなく、ICT(情報通信技術)の力なども結集しないと前進しません。
そのために「孤独死の傾向と対策」を示したのが本書です。
……
どうか在宅医療と並行して孤独死を防ぐ町をみなさんと作りましょう。
それが
「最期まで住み慣れた地域で暮らす」という本当の意味であると信じています。
・・・・・・・・・・
男性は、例えてみれば、鋼のように強いが、ポッキリと折れる。
その性格が、良くも悪くも「老後」の生き方に現れているのでしょうか?
妻子のために、いろいろな思いを飲み込んで働いてきた夫たちに、「老後」が充分報われますようにと思わずにおれません。
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