英政府、高齢期の孤独の「問題」に取り組む
I feel lonely. What can I do?
さみしい気持ちだ。私に何ができるだろうか?
《英国の「孤独を止めるキャンペーン」ウェブサイト》
英国政府が、2018年1月に「孤独問題担当国務大臣」を任命した。
孤独は社会的な状態でもあり、心理的な状態でもある。
それを正面から「問題」として国が解決する姿勢を見せたことが各国に驚きを与えた。
孤独の問題は全年齢に関連しているが、高齢期の孤独は特に注目されている。
英国公衆衛生庁が2019年3月に発行した
「Productive Healthy Ageingのための介入メニュー」でも、
通常の高齢者支援メニューによくある、
社会的孤立と孤独への介入策が盛り込まれている。
※Productive Healthy Ageingの概念の日本語訳はまだないが、
身体的な健康だけではなく、経済的に安定していること、
認知的・身体的余力や学習機会といったレジリエンスがあることと、
周りとのつながりがあること、生きがいがあることが含まれている。
このメニューの中では、
社会的孤立と循環器疾患のリスクとの関連や、
孤独がストレスとなってその他の慢性疾患や健康を害する行動に結びつくこと、
社会的孤立は独居の高齢男性によく見られることが
指摘されている。
社会的孤立は1日15本喫煙するのと同じくらい健康に悪い、という研究結果も紹介されている。
英国の「孤独を止めるキャンペーン(Canpaign to End Lonliness)」
「さみしい気持ちだ。私に何ができるだろうか?」
具体的にできることとして、
電話やソーシャルメディアで友達に連絡してみる、
新しいつながりに時間を投資してみる、
深いつながりを求めるだけでなく店員やバス停にいる人とちょっとした挨拶をしてみる、
Facebookやメッセンジャーを使って友達と新しい友達を作る、
などが提案されている。
日本の高齢者も、特に男性は、配偶者がいないことにより人付き合いをなくしがちである。
気心が知れた既存の仲間は時が進むにつれて減りこそすれ増えることはない。
何もしなければ自然と孤独に向かうのが高齢者の生活だ。
「さみしい気持ちがあること」を自ら認識し、
「自分に何ができるか」を考え、
小さくてもいいからコミュニケーションをとってみるという、
高齢者の行動の変容を促すことが必要だろう。
『シニアのデジタル化が拓く豊かな未来』
沢村香苗・井熊 均・木通秀樹 著(学陽書房)より
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「孤独」は、国を挙げて取り組む社会問題である
メイ首相は「孤独は現代の公衆衛生上、最も大きな課題の一つ」 として、世界初の「孤独担当大臣」を任命した。
影の功労者は、労働党のジョー・コックス下院議員(享年41)
15年に初当選すると「孤独の問題は政策的な対応が必要」と、超党派の委員会を立ち上げる。が、16年6月、極右の男に射殺される。
政府がここまで本腰を入れるのは、「孤独」が医療費や経済を圧迫しかねないからだ。
(World Now GLOBE)より
★日本は「孤独・孤立担当大臣」任命は、英国に次いで2か国目(2021年2月)
孤独が本人の性格や心情のみに依拠するのではなく、政策によって具体的に解決する必要があると認められました。
これは、大変勇気づけられます。
※ 日本と英国の取り組み方は若干違うようです。
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