「人生100年時代」を生きる知恵
人の寿命が延びた、だけでなく、死ななくなった。
これから、人はどんな心がけで生きていくのか。
嬉しいような、悲しいような……。
こんな本がありました。
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世界のニュースを日本人は何も知らない
谷本真由美 著 (ワニブックス)
第5章 世界の「教養を」日本人は何も知らない から
⌘ 老いを恐れる必要はない
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日本は、若さを礼賛する風潮や、新しいものをよしとする考え方がきわめて強い国です。
……
まだ30代、40代の人が「私は中年だから」「もう歳だし」なんてことを平気で口にしますが、そのような発言は欧州では驚かれてしまうでしょう。
欧州では若い人の立場のほうが弱く、年を重ねた中年以上の人は引け目など感じず堂々としているものです。
欧州では、歴史の長い建物のほうが新築よりも重宝されることが多いのですが、これは人間に対しても同じです。
単に若くて元気なだけの人よりも、さまざまな修羅場をくぐり抜けてきた年配者のほうが深い人間味をかんじさせ丁重に扱われることが多いものです。
歴史を重んじる欧州らしいスタンスですね。
このような欧州の考え方を裏付けるような研究も発表されています。
「知能は加齢とともにどのように変化するか」(心理学、老年学)
心理学者 レイモンド・キャッテル
知性は
「結晶性知能(crystallized intelligence)」と
「流動性知能(fluid intelligence)」
に分けられる。
結晶性知能は長年にわたる経験および教育や学習などから獲得していく知能で、高齢者になるほど高まっていく。
流動性知能は瞬発力や記憶力、集中力といった能力であり、こちらは加齢とともに衰える。
ある心理学者の研究
1000名以上を対象に「語彙」「処理速度」「推論」「記憶」を検査
・「語彙」は高齢であればあるほどスコアが高い
・クロスワードパズルは60~70代が最も高いパフォーマンスを発揮。
・知識やスキル、経験則などによる問題解決能力は60歳まで伸び続ける。
・企業の経営者は60代が多く、数値上は知能が低下するにもかかわらず彼らが適切な意思決定を下せる。
真の知能というのは決して一面的なものではなく、周囲とのかかわりや体得の積み重ねなどさまざまな経験を組み合わせたものであり、単なる知能検査で計測できるようなものではない、きわめて総合的で複雑だと指摘しています。
多くの人にとって日常生活は似たような行動の繰り返しですが、実は過去にされたことに対してさまざまな経験から考え方や感じ方を上塗りしていっているのです。
したがって、経験が多ければ多いほど自分の行動を適切に調整することができるようになります。
経験から得られる知恵に勝るものはありません。
自分が何か重要なことを判断する場合には、自分よりも年齢が上の人の意見を伺ってみることをおすすめします。
なんでもかんでも若ければいい、新しいほうがいいという日本人の価値観がいかに視野の狭い馬鹿げたものか、おわかりになったことでしょう。
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フランスの大統領(エマニュエル・マクロン)の奥様(ブリジット・マクロン)は大統領よりも、24歳年上。
さすが、「愛の国」フランス。
女優さんも、お年を取られても堂々としてらっしゃいました。
カトリーヌ・ドヌーヴ、ジャンヌ・モロー、ブリジッド・バルドーさん・・・
老いを恐れることはない、はその通りですが、
「老い」ゆえの寂しさもあります。
知人が減っていく、話し相手が少なくなっていく。身体が思うように動かない、などの「つらさ」も抱えて生きています。
若い時には考えもしなかった「長い老後」。
人類初の「長寿社会」を、私たちは生きることになります。
長谷川スケールの長谷川先生が言われたように、この超高齢化社会を日本がどのように解決していくのかを、世界が注目しています。
日本は、リーダーとならなければなりません。
肩肘張っても仕方ありません。気楽に、気長に、長年培った知恵と経験で乗り越えていきましょう。
皆様の健闘をお祈りします!
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