私たちが、政治に無関心でいてはいけない理由を、塩野七生氏が、ローマ帝国末期
の歴史から教えています。
日本人へ リーダー篇 塩野七生 著(文春文庫)
なぜこうも、政治にこだわるのか
ローマ帝国末期に侵入を繰り返していた蛮族から隠すために地中に埋めた品々を集めた展覧会(イタリア、パドヴァにて)
会場の入口が閑散としている。
金銀財宝はなく、展示品のほとんどはナベ・カマ(非常によくできている)
金銀財宝を見られると期待していった人は失望した。
なぜ、ナベ・カマのたぐいまで隠さねばならなかったのか。
・ 金銀財宝を持っていた人の多くはいち早く安全な地に逃げていた。
・ 地位もなく権力もなく資力もなかった庶民はそこに留まるしかなく、地中に埋めたナベ・カマを掘り出すことさえもなく殺されていった。
ローマ史
上部構造が機能しなくなったがゆえの弊害を、残された下部構造だけがモロにかぶる。
➡ ローマ帝国末期に起こった真の悲劇
国の安全保障の責任を負う国政が、ガタガタになってしまった。
会社でも、破産でもすれば最も被害をこうむるのは、外資でも、どこでも行先に不足しない人ではなく、
会社がつぶれようものなら行き場のない人々であろう。
国の政治くらいわれわれ庶民の生活に直結していることはない
国の政治は、権力や財力をもつ人々が彼らの利益のみを考えてやるもので、われわれ庶民には関係ない
➡ 投票率の低さの要因?
会社の経営状態に誰よりも関心を持ち、その向上を誰よりも願うのは、幹部社員ではなくて行き場のない一般社員であるはずだ。
国家もそれと同じなのである
国の政治くらいわれわれ庶民の生活に直結していることはない
今の政治家には人材がいない⁈ という声
ほんとうにいないのだろうか
人材を見出し育てる意欲が、マスメディアにも有権者にもない、のではないか。
人間とは、期待されるや自分では思いもしなかった力を発揮することもあるという、不思議な生き物でもある。
だから、
国の政治とはいかに重要か、それゆえにあなた方に期待しているのだとでも言って、激励してみてはどうであろうか。
今のように、
欠点をほじくり出しては軽蔑と非難を浴びせるのではなくて。
もちろん、有権者の権利である監視は必要だ。
だがその監視も
蹴落とすのではなく押し上げる想いでやるならば、当の政治家が喜ぶだけでなく、われわれにとっても良い結果をもたらすことになる。
資源に恵まれない日本は、持てる資源を活用するしかない。
政治家も日本人である以上、資源の一つではないか。
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先のブログで「イギリス人は借金が大好き」を書きました。
その時、金融緩和政策が実施されると、イギリス人の良き慣習が壊れていったことを知りました。
政策は、あだやおろそかにするもんじゃない! と実感しました。
庶民こそ、政治に参加しなければならない意味がわかります。
いざという時、
私たち庶民には、地位も資産もなく、逃げていく場所もないのですから。
思いついたときに投票に行くだけの私には、身に浸みました。
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