「世界のニュースを日本人は何も知らない」
谷本真由美 著(ワニブックス)
イギリス人は、実は・・・あまりパブに行かない
ここ20年余りのイギリスでは、食生活に大きな変化が起きている。
20年ほど前から、ワインバーなど欧州大陸式のお店や、アメリカ式のバーなどが増えてきている。
現在主流になっているのが
グルメパブという形態のお店
食事が中心で、フィッシュパイ、ソーセージ&マッシュポテト、ステーキとキドニー(腎臓)パイ、バブル&スクイーク、シェパーズパイ
ピザ、パスタ、メキシカン、タイカレー、インドカレー、ハンバーガー、タパス、カリブ海料理、といった多国籍料理を提供するパブ
昔ながらのパブは最近どんどんつぶれている。
経済の先行きが不安定なためパブでビール1杯の料金を払うのは厳しい。
ビール1杯(約500ml)3.6ポンド(1ポンド140円で約500円)
翌年 3.6%値上がりし、2.4%のインフレ率を上回る。
「ビジネス税」という法人税と付加価値税(VAT)が上昇した。
ビール1杯あたり約1/3が税金となるくらいの税率
⇒ ビール価格の上昇⇒ パブで1杯ひっかけて帰る人が減る。
ビジネス税は、ビジネスの利益にかかる法人税とは別で、ビジネスで利用する不動産の評価額(reteable :RV)に対してかかる税金のこと
評価額は政府が不動産の市場価格から算出し、5年ごとに見直される。
日本の固定資産税に相当する。一般住宅にはこの税金はない。
このビジネス税が支払えないために、ロンドンの中心部など不動産価格の高いエリアにある店舗は、郊外への引っ越しや閉店を余儀なくされている。
生き残っているの店の多くは、大手チェーン店。
不動産価格が上昇し、それにともなって資産価値とビジネス税も跳ね上がってしまい店をたたんだ例も出てきている。
郊外や田舎のパブもビジネス税で次々と閉店に追い込まれている。
さらに問題なのは酒税率の引き上げ。
飲み物に上乗せして値上げするわけにいかず、差額が利益を食ってしまい経営を圧迫している。
イギリスのビール税率 アルコール度数5% 54ペンス(75円)
ドイツのビール税率 同種のもので イギリスの 1/10
⇒ イギリスの税率は高い。
2001年~2018年 イギリスのパブ
5万2千件~3万8千件 へと減少
従業員9人以下のパブの閉鎖が目立つ。
東ロンドンの労働者階級文化の象徴だったパブがどんどん消えている。
パブの代わりに増えているのが
アメリカ式のグルメハンバーガーショップ
ベトナム料理店
ペルー料理店
多種多様な食事が楽しめるようになってきた。
2000年以降
EU加盟国間での居住と労働の自由化により
EU国籍の人はビザなしでイギリスに住んで働けるようになったため、
欧州大陸のレストランもぐんと増える。
一定の収入を得ていないと労働ビザの取得ができないイギリスでは、賃金が安い飲食業界で働く人が取得するのは不可能。
でも
EU国籍ならビザが不要なので、
多くの料理人がイギリスへ働きに来るようになり、
近年ではかなりの田舎町でも欧州大陸の本格的な食事を楽しめる。
さまざまな国の料理を楽しむ人々が増えたことも、イギリス人の足がパブから遠のいている一因。
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映画などでよく見る、フィシュ&チップスをいつか食べたいと思っていたが、早くしないと消えてしまうかも知れないとあせった。
日本でも食べさせてくれる店はたくさんあるようなので、あせることはないのかもしれないが、イギリスも変わっていっていることを実感した。
イギリス人は、意外と新しい物好きなのでは?
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