長い「老後」をいかに楽しむか (2)
「ボケ老人」より不幸な「うつ老人」
誤診すると、うつ病を悪化させたり、認知症の進行を早めたりします。
それまでの自分や自分の人生のすべてを否定するようになります。
「いいことなんか一つもなかった」「何のために生きてきたんだろう」
といった強い自己否定が生まれ、苦しみます。
ほんとうはいいこともあったし、幸せな時期もあったはずなのに、それを全部忘れていままでの自分の人生を不幸の一色に塗りつぶしてしまいます。
《自分を不幸と決めつけてしまったら苦しいだけの毎日になります》
治療に時間がかかったり、良くなっても再発しやすい病気ですから、長く苦しむ人が多いのです。
「その点で」認知症は決して不幸な病ではありません。
《嫌なことも不幸なこともすべて忘れてしまい、たとえ過去がどうだったとしても、いまは幸せそうにしている人が多いのです》
うつ状態で自己否定して苦しむよりは幸せだと思います。
記憶への不安はその人の気持ちも不安にさせます
ある程度進んでからの認知症のもの忘れは、
記憶がすっぽり抜けてしまいます。
・・・忘れたという自覚がない
➡ 思い出せないのではなく、記憶そのものが消えています。
「私はどうしちゃったんだろう」 道順が思い出せない、約束したことを全部忘れる
・・・不安が膨らむ
➡ 認知症は記憶が苦手になる状態ということもできます。
認知症でなくとも嫉妬や妄想は生まれます
認知症になると性格の先鋭化という現象が起こる
脳の老化 ➡ 前頭葉の機能低下
➡ 感情をコントロールできない・怒りっぽくなったり頑固になったりする
「みんなが私のものを盗んでいる」「意地悪して隠している」
以前から多少そういう傾向のあった人が、
認知症になって先鋭化したということもできるのです。
若い世代や働き盛りのうつ病とは症状が異なります。
妄想が多くなる・・・身近な人に対して「盗んだ」「隠した」
若い世代・・・周囲の不特定多数に対して妄想を抱く
妄想が目立つようになったらまず、うつ病を疑う
口数が少なくなる、好きだったことに関心を持たなくなる
うつ病・・・治療を受けると落ち着いてくる
「ボケるような歳でもないのに」とイライラしたり、励ましたりは逆効果
できるだけ孤立感を持たないように接することは、
幸せにボケたいなら、できる努力はやってみよう
・ うつ病は、きちんと治療すれば改善される
・ うつ病は、生活習慣や生き方、考え方を変えることで防げる
➡ うつは努力しだいで予防が可能
・ 長い間うつに苦しんでいた人が歳を取って認知症が始まる
・ 認知症とわかって悲観的な気持ちになり、それが抑うつ状態を悪化させてうつ病になる
うつにならない生活習慣の実行、できる努力はやってみる
楽しいと思うことをやれば、うつもボケも遠ざけられる
その人にとって楽しいこと、幸せな時間を大切にする
自分にとっての楽しさや幸福感を生み出すものを最優先にする
➡ うつの予防、認知症の進行を遅らせる
自分らしい暮らし、自分に合った生き方が大切
過去には世間に恥ずかしい病気として隠してしまう傾向がありました。
➡ 家の中に閉じ込めてしまう
➡ 楽しくない、幸せな気持ちにならない
➡ 症状の進行が早い
家族や周りの人の接し方も重要
自分にとっての幸せ、楽しさや幸福感を生み出すものを最優先にする
ボケたおかげで幸せになる「力」がつく
自分らしく暮らす、できることや好きなことだけ続けていこうと決める
うつにならないためには、
楽な気持ちで生きることが大切な習慣になってきます。
同時に
機嫌のいいボケになることができます。
ボケの強み
・ 過去はもちろん、ついさっきの嫌なことも忘れる
・ 記憶に残っているのは、楽しかったこと、幸せだったときのこと
・ 自分に都合の悪い記憶は書き換えてしまう
ボケたら何もできなくなるのではなく
ボケたおかげで幸せになる力がついてくるという受け止めかたが大事
「自分が高齢になるということ」
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ボケが、老化現象の現れであること、
ボケると良いこともあると教えてもらいました。
「自分に都合の良い過去」を作りだすなんて最高ですね。
神様が、人間にそれをお許しになったんですね。
長谷川スケールの長谷川先生も、似たようなことを言っておられます。
「認知症は死への恐怖を和らげるために、神様がボクに用意してくれたものかもしれない」と。
長い老後は、あの世は旅立つまでの準備期間。
どうせなら、楽しい老後を「作って」いけたらと思います。(e)
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