もうすぐ、バレンタインデー。
男性は、特にソワソワ、ドキドキしておられるのではないかと、「ばあば」は高みの見物をしている。
内館牧子氏が、「男の無作法」でこんなことを言っておられた。
「プレゼントの意味をくめない」のところで
…特に男の人たちは、受け取り方がうまくない。とにかくもらったら、
「僕本人がチョー嬉しい」と叫び、
忘れぬように直ちにバッグに入れること、と。
ある男性のお祝いのイベントに、「ぜひ出席して」と電話をもらい、
しょっちゅう会う人ではないが、
頭も、ハートもよく、見た目もすてきな人のため、
黄色いチューリップを、花だけで50本の花束を作ってもらった。
式場で
その日はタキシード風の黒いスーツで、もともとすてきな人なので、黄色いチューリップがよく似合っていた。
「オー‼」と声をあげて胸に抱いた。そして、続けて。「黄色いチューリップ、女房が一番好きな花なんだ。女房が喜ぶよ。ありがとう!」
「こりゃダメだ。こいつ、女にもてないな」と思われたそうな。
誰に対するプレゼントなのか理解できていない。そのため、本人はよかれと思っていったセリフが、無神経に聞こえるのである。
花は彼へのプレゼントである。
彼の女房のためではない。
プレゼントしてくれた人の前で言わず、自宅に帰ってからすぐに女房に渡せばいいのである。
…女友達としゃべっていると、彼女たちもプレゼントで無神経な経験をしている…
「男の人たちって、プレゼントもらいつけてないのかしら。照れてるのかしら」
A子の場合
仕事でお世話になった、私的感情のない相手に
選びに選んだバレンタインのチョコを渡した。
彼は、びっくりして飛び上がらんばかりに喜んだ。
「イヤァ、ありがとう! こんなもの頂くほど力になってないのになァ。イヤァ、驚いた」
そして、言った。
「このブランド、うちの娘が大好きでね。最近、ちょっと反抗期だからこれを渡せば会話のきっかけになるよ、きっと」
「こりゃダメだ。こいつ、もてないな」と、思ったそうだ。
B子の場合
同僚女性と二人で、世話になった男性を食事に招いた。
彼はスケッチ旅行が趣味で、個展を開くほどだという。二人は彼が愛用している絵具を知っており、それを買っておいた。
楽しい時間を過ごしていた。メインディッシュがすんだ頃、
二人は小さなプレゼントを渡した。
「えーッ、よくわかったねえ。僕この絵具しか使わないんだよ。嬉しいなァ。ありがとう。ちょうど買わなきゃと思ってたとこだけど、二人からだと思うと、ありがたくて使えないよ」と感激。
彼はその絵具を、持ち帰るのを忘れてしまったのである。
翌日、B子に店からに電話があった。
「絵具をお忘れじゃないでしょうか」
すぐにB子が店に取りに行ったが、男性はずっと忘れたことに気づかない。
仕事で顔を合わせても、食事のお礼は言われたが、絵具についてはまったくである。
店に確認しても、男性からの問い合わせはないとのことだ。
一週間後、
「絵具を忘れていると店から電話がありまして」と彼に言った。
「探してたんだよ、あの日からずっと。どこでなくしたのかって、まさか君たちに、なくしたなんていえないし。そうか、よかった。ありがとう。今日、持ってきてる?大好きな絵具だから、早く欲しい」
打合せ通り、B子が言った。
「忘れるくらいですから、実は全然嬉しくないんだなって思いまして、ぜひ欲しいという美大生にあげました。すぐに取りに来るほど欲しがってましたから」
以来、B子も同僚女性も彼を「信用のおけない男」として冷ややかに見ている。
プレゼントは難しい。品物選びも喜び方もだ。
〈 繰り返しますが、〉
とにかくもらったら、
「僕本人がチョー嬉しい」と叫び、忘れぬよう直ちにバッグに入れることである。
☆☆☆ ☆☆☆
『女の無作法』に続き『男の無作法』を取り上げた。
私自身を顧みれば「無作法」のあれやこれやが思い浮かび、冷や汗ものである。
が、自分のことは棚に上げて考えよう。
こんな場合の失態は、取り返すことができるのだろうか?
何はともあれ、バレンタインデー。
男性諸君の奮闘を祈る
- 価格: 858 円
- 楽天で詳細を見る