「ものいわぬ婆ァとなりて 春暮るる 」
佐藤 愛子
『九十歳。何がめでたい』小学館 より
…『晩鐘』を書いた後はもう、私の胸の中にあるものを総ざらえで出した、出し切ったと思ったものですから、もうないと思っていましたの。
…毎日ぼんやり過ごしていると、だんだんうつ病みたいになってきたんですよ。
そこへちょうど『女性セブン』からお話がありまして、
それを書き始めたら元気が出てきて、うつ病も消し飛びましたので…
人間「のんびりしよう」なんて考えはダメ…
佐藤氏ほど濃密な人生を送った人はそういなくとも
やはり、人間は死ぬまで「仕事」をしていた方がいいんですね。
70歳で、ある分類では 「ヤング・オールド」 の部類に入る私ですが、
「オールド・オールド」を射程に入れて、これから先のことを考えていこうと思っています。
(アメリカの老年学の権威であるシカゴ大学のベルニース・ニューガートンは……75歳くらいまでをヤング・オールド75歳以上をオールド・オールドと呼んだ)
佐藤氏の本は、高齢者に元気を与える良き参考書です。
90歳、何がめでたい。
音が聞こえにくくなる。
目の調子がおかしい時がある。
身体の力が、予告なしに抜ける。転んでもすぐに立ち上がれない。
など、「老化」現象ですまされることが多くなる。積極的治療法はない。
自身は納得できるが、不便になることにイライラする。
「こみ上げる憤怒の孤独」
この見出しで、すべて言い切っておられるように思いました。
平和な世の中を手放しで喜べない、昨今の出来事。
物事にいちいち反応していては、身が持たない。
静かに暮らしたい。
そうして差し上げたいところですが、
執筆は続いているようで
『98歳。戦いやまず日は暮れず』という本がでました。
何はともあれ、ご本でお会いできることは、とっても嬉しいです。