花の色は 移りにけりな いたずらに
わが身よにふる 眺めせしまに
九重の 花の都に住まわせで
はかなや我は 三重にかくるる
われ死なば 焼くな埋むな
野にさらせ 瘦せたる犬の腹肥やせ
『花の色は~ 』から『われ死なば~』まで
小町の一生は、女性の一生をなぞっていると思える。
そんな見方もできるような気がする。
この時代、女性の名前さえなく、○○の娘、△△の更衣と呼ばれていた。
常に誰かの後ろ盾を必要としていた、らしい。
その庇護がなくなると、身分と共に生活も不安定になっていく。
はっきりしたことは分かっていないが、小町も同じような境遇だったと思われる。
貴族に近い身分の小町は、特にそうだっただろう。
この頃は、貴族の派手な暮らしとは逆に、庶民の暮らしは楽ではなかった。
衛生的環境も良くかっただろう。
死骸などよく目にしていたと思われる。
そうでなければ、『~瘦せたる犬の腹肥やせ』とは読まない。
年を取ると独り身の女性は大変だった。
ただ最近まで、老人と女性と貧困層は昔と変わらない状況だった。
姥捨ては、少し前まで行われていた。
夫も子供もいなければ、その上、財産もなければ、
小町のように叫ばずにはいられないだろう。
『 吾れ死なば ~ 瘦せたる犬の 腹肥やせ 』
それをみて、少女は、「ああ、女って大変。何か手に職をつけなければ、…」
と考える。「自分の食い扶持は自分で稼いで、経済的に自立しなければ、…」
これは、最近、女性が外で働くことを勧められるようになって、下火になってきた。
(と思う)
小野小町は、カッコイイ人だった。毅然としていた。
「私が死んだら死骸は、焼いたり、埋めたりしなくて結構よ。せめて、腹を空かしている犬の腹を肥やしてあげてくださいな」
なんて歌を読んで、高齢者の鏡だ。
まあ、腹立ちまぎれにということもあるかもしれないが…。
小野小町について、詳しくはわからないが、女性としても高齢者としても尊敬できる人ではなかったか。と、ない脳みそを絞って考えた。

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