emilyroom’s diary

徒然なるままにブログ

大工の棟梁の教え  carpentry

  棟梁とは、私の父のことだ。

 そう呼ばれていた時もあったのだ。

決して、立派な人だったと言いたいのではない。私から(子供)見たら、欠点の多い人だった。ただ、父なりに子供を可愛いがっていたことはよくわかっていた。

 仕事から帰って来ると、子供相手にプロレスごっこの相手をしてくれた。息子も娘も一緒だった。皆んな必死で父の両手両足に齧り付いていっては、投げ飛ばされていた。

 夏休みには、実家に子供達を連れて帰ってくれた。「おばば」(祖母)が豆腐や味噌を家で手作りしていることを知ってびっくりした。工場で作るものと思っていたのだ。「町の子」って無知やね。

 海に行くと、クラゲに刺されながらも、大人に守られて楽しく遊んだ。

 もう、あんな楽しい日々は帰ってこないことを思うにつけ、生きているうちに親孝行ができなかったことを今更ながら、後悔している。

 両親が他界してから、うかうかと暮らしていた。ある時、暗がりで雑巾を洗おうとしたら「暗い所で仕事をするな。電気をつけろ」と父がよく言ってた事を思い出した。他にも言われていた「教え」のようなものがあったと頭を絞ってみた。

 

 ◆ 暗い所で仕事をするな。電気を点けて明るいところでしろ。

 ◆仕事をしている時に、口を出すな。終わるまで見てからにしろ。

 ◇夜の蜘蛛は殺すな  九州で蜘蛛は「こぶ」と言う。夜の「こぶ」は「よろこぶ」に繋がるから。

 これは、「言い伝え」になるのかな。

 

 残念ながら「教え」は、ニつしか思い出せなかった。

 

 やつばり、親への恩返しには足りないな。

 ごめん、父ちゃん。