老い力 佐藤愛子 著から
私は、女性にもヒゲが生えていることを長い間知らなかった。不精な事もあって、顔剃りなどした事がなかった。そのせいで知ることもなく過ごしてきたのかも知れない。
佐藤愛子氏が言う「ヒゲが生える」とは、ちょっと意味が違うけど。
デンと構えて、ちょっとやそっとでは動かない逞しい女性の例えだと思う。
「老い力」によると、
〈女が年をとるとヒゲが生えるということは、女らしさを失うということである。女らしさを失うということは、従順を捨て、強くなって自分の意見を通すということであろう。〉
〈…いつかお母さんにはお父様を凌ぐ力がついていて、お父様などいついなくなってもさほど困らないという自信の柱が身体の中にしっかりと建立されているのである。〉
〈…我々女性に包含されている力は、生まれる時に神さまから与えられた底力の上に、強いられた忍耐と犠牲によって培われたものである。その力は苦労に直面する度に強くなり、掘れば掘るほど湧き出してくる。〉
とある。
長年の結婚生活が男女をこのように変えてきたのだ。恐らく、多くの人は諦めの境地と納得で「平穏な」老年生活を過ごされていると拝察される。
私?、私は、結婚生活を途中でリタイアし、「何っ、敬老の日? それどころじゃないわ!」と年を数えている暇のない老年期を過ごしている。