あの震災で、一番早く復旧したのは電気だった。
家は全壊だった。瓦礫のような家に戻り、探し物をしていてふと、冷蔵庫を開けてみた。庫内灯が点いている。土間に落ち、傾いているため、すっかり壊れていると思っていたが、しっかり仕事をしていた。冷凍庫も大丈夫だつた。忘れていた肉の塊も入っている。
白物家電って丈夫だなぁと感心した。
急ぎホットプレートを探すとあった、あった。使えるぞ。
嬉しかった。温かいものに飢えていたから、ただ嬉しかった。温かくて少しは栄養あるものを子供達に食べさせられる。
物が散乱した部屋で、座る場所を確保して、久しぶりのホカホカおかずを家族で食べた。
震災当時に頭をめぐらせていたら、こんなことを思い出した。
人生って、山あり谷あり、隙間あり。
私達と同じような経験をした人は案外いるのではないだろうか。
もうだめだと思っていたら、意外な助け舟があらわれたりして、人生捨てたもんでないと思う事が。
(冷凍肉から、ちょっと話を広げ過ぎたかも知れない。)
自然災害は、ほとんど避けられない。持てるものを総動員して対処していくしかないと思っている。
日本人は、危機に対して「冷静沈着」で「思いやり」があると世界が認知している。
今後も数々の災難を糧に、思いがけない事態が起こっても、日本人は世界を驚嘆させる対応を展開していくかも知れないと思っている。